鉱物ジオラマ電球「森の奥のホルン吹き」
鉱物:アーカンソー州産水晶ポイント(Arkansas,USA)
イリノイ州産八面体劈開蛍石(Hardin country,Illinois,USA)
使用電球:口金26mm、高さおよそ10cm×直径およそ5.5cm
イリノイ州産の蛍石については先日記事に書いた(こちら )ばかりですが、早速この中から少し曇った、憂鬱な色合いの八面体を使って電球の中に鉱物の森を閉じ込めてみました。
その透明感が名高いイリノイ州産を名乗るには少し気が引けるような、くぐもった色合いですがバイカラーで、なかなか魅力的な標本です。形も正八面体に近く整った美しさです。
そのわきで一人、ホルンを吹いている民族衣装の男。これはドイツ、バイエルン地方の民族衣装です。プライザー社Nゲージサイズですので、1センチほどの小さな小さな、ピンセットでつまむ大きさのフィギュアです。
普通ホルンはバンドやオーケストラで合奏するのですが…昔読んだ村上春樹のエッセイに「森の中で男がホルンに出会う」話がありまして、それを読んでからなんとなく、ついホルンのモチーフを見るたびに、森の奥にはホルンがひっそり眠っていて、男に出会うのを待っている、という空想をしてしまいます。
余談ですが私は高校時代吹奏楽部にいまして、それまで小学校からずっと担当してきたトランペットのパートにじゃんけんで負けてつけず、人数の足りなかったホルンを1年間だけ演奏していたことがあります。私には絶対音感がないので調律の難しいホルンは向いておらず、結局吹奏楽部は退部して美術部に入りなおしてしまったのですが、それはともかく、ホルンはとても美しい楽器ですね。不思議な形の美しい楽器。絵になります。
水晶はアーカンソー州産。透明度は高いのですが、表面に少し模様がついていて、形は特筆すべき美しさではありません。が、水晶らしい形もこの風景の中では引き立って見える気がします。…蛍石を入れるために少しコストを下げる必要があり、前回までのものより少しだけランクは下のものを使っています。それでもポイントは3つ入っていますから、みすぼらしい感じではないと思います。
実はこちらの作品、イリノイ州産蛍石の記事よりはるか前に、制作に入っていたものです。というのも、この電球の中にジオラマを作るとなると、まず土台の地面を乾燥させるのにえらいこと時間がかかるのです。見た目以上にガラス部分の口が狭く、空気の循環が悪いのでなかなか乾かないのですね。この量のもので大体10日間ほどかかります。ちなみに秤量瓶のような口の広い瓶だと2日くらいで完全に乾きます。(電動の自然対流式乾燥機を昼夜休まず使って、の話です。自然乾燥の場合はさらに倍くらいかかるかもしれません)
加えて、中に入れた草やモスの乾燥時間、フィギュアの接着剤の乾燥時間ももちろんかかりますので、実際の作業時間よりも乾燥待ちの時間の方がものすごく長いのですね。なので、量産は難しいものがあります。デザフェスまでにあと3つくらいは作っていきたいと考えていますが…感想が間に合うかどうかが肝になりそうです。なお、博物ふぇすにも鉱物ジオラマ電球は持って行く予定です。
このジオラマ電球、今の時点では自立しません。撮影の際などはミネラルタック(鉱物専用の練消し状の固定剤)を使用しているのですが…あとははんだ付けでカンをつけてぶら下げられるようにするかどうか、ただいま検討中です。吊るしてディスプレイするのも素敵、と以前フジイキョウコさんに仰っていただいて…それからあれこれ模索しています。その辺りがまた決まりましたら記事にさせていただくかもしれません。
いいお天気ですね。きっと今日は絶好のお花見日和だったことでしょう。…が、例によって私は少し体調を崩していまして…本日は子供とおうち遊び。本日アメリカから届いた藍晶石たちなどを一緒に洗って日干ししたりしました。水にぬれた藍晶石は色が鮮やかで、陽に透かすととてもきれいです。乾燥後、これは作品に使いたいと思っています。
桜の季節は何かと慌ただしいものですから無理は禁物、と思いはするものの、今週末には楽しい予定がありますし、何とか回復したいものです。
なお、体調が回復すれば明後日、木曜日から日曜日まで春のお墓参りがてら東京都下の実家に帰省する予定です。実家ではweb環境が不安定なため、更新が毎日ではなく不規則になる可能性があります。なんだかんだと理由をつけてこのところお休みを頂がちで恐縮ですが、どうぞご理解の程、よろしくお願いいたします。
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