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国立科学博物館特別展「医は仁術」


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長らくお休みをいただきまして、久しぶりの更新です。
お休み中は新宿ショーに顔を出したり、実家へ帰省して国立科学博物館やCafe SAYAへ行ったりなどしていました。
ミネラルショーで買い付けた石や海外から新着の石なども来ているのですが、生憎の空模様ですので、本日は国立科学博物館で催されている「医は仁術展」(公式サイトはこちら)をご紹介してみようと思います。


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今回の展示のお目当ても医学的な興味ではなく、博物趣味の人間ですからむしろ本草学への興味と江戸期の医療器具や医療模型を見学する目的で、私一人で行って参りました。
以下、会場内の展示物の画像を乗せますが、少々グロテスクなものもございますので、苦手な方はここで引き返されることをお勧め致します。


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さて、今回私が一番見たかったのがこちらの奥田木骨。
文政3年、大阪の奥田万里医師が制作させたものですが、木でできています。
現代ではまず、作られないものですね。
骨の造型自体が好きで、昔から骨格標本などに強い憧れがあるのですが、流石に狭小住宅住まいで幼い子供のいる身なので人体の骨格標本は持っておりません。

また、私の趣味は理科室趣味とも少し違う気がしています。
理科室よりも、博物館や図書室に棲みたい子供だったからでしょうか。
この辺りは似て非なるもの…というのはこういった分野がお好きであろう、このブログの読者諸兄にはわかっていただけるところなのではないか…と勝手に思っています。

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会期終わりが近い日曜日に行ったので、会場内はかなりの混雑…写真撮影は許可をとってしておりますが、あまりベストショットでとるほどの余裕はありませんでした。
が、こちらの画像では、木の質感は少し、わかっていただけるでしょうか。
学術的・歴史的価値はもちろん高いものですが、これ自体が芸術品ですね。
美しい、と素直に感じます。


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こちらは解体人形。
文政5年、農民が解体新書などを参考に制作した男女交換可能な人体・内臓模型です。
当時の制作日誌と「解体図譜」の写本も残されており、蘭学が解体新書以後大きく広がっていったことが伺えるものですが、ご覧のとおり、和紙でできています。

少し愛嬌があるような、どこかで見たような…と思ったら、ヤン・シュヴァンクマイエルの「アリス」の中でアリスが閉じ込められた紙の等身大人形のイメージに似ているのですね。あくまでイメージですが。

こういった「面白い」模型も、日本の文化特有のもので、見ごたえがあります。
そして何故か…創作意欲というか、「自分もとことん何かを作ってみたい」という欲に火が付きました。
好奇心に突き動かされて、こういったものを作り上げる執念、というものが私は好きなのだと思います。

この他にも、和紙や木でできた「生き人形」や「産科人形」、「経絡人形」なども非常に興味深く拝見したのですが、こちらは少し、ブログに乗せるにはグロテスクですので割愛します。ご興味のある方は、是非展示を実際にご覧になってみてください。


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その他、江戸期から明治にかけての古い手術道具や…



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薬箱や…、



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顕微鏡なども大変見ごたえのある展示でした。

アンティークの医療器具、というとどうしても西洋のものを思い浮かべますが、例えば江戸期の御典醫(所謂「御匙」と呼ばれる、将軍や大名などに仕えた医師のことですね)の所持していた医療器具などには蒔絵の装飾があったり、また、和漢の薬箱などは大変興味深いものです。
そういったものが一堂に会する機会というのはなかなかないものですし、大変面白い展示だったと思います。

ちなみに、混雑していたため時間に制限がある私はすべての展示を一日がかりで見ることはできませんで、終わりの方の「現代医学」のブース、最新の医療に使われているものの展示は素通りせざるを得ず、こちらは少し残念でした…が、iPS細胞のコロニーだけはしっかり見て帰ってきました(笑)
この辺り、鉱物にしろ理科器具にしろ医療器具にしろ骨格標本にしろ…そこにある学問よりも「モノ」に執着しそこに物語を見る性質が露呈している気もしますね。
この展示において「医は仁術」の精神を学ぼう、という方にはご不快極まりないと思うのですが、もうこれは性分ですね。



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こちらは今回の図録と、そのオマケ。
この図録、画像ではわからないですが、和綴じの冊子で、なかなか見ごたえもあり、おすすめです。
会場特典として、オマケはこちら、メモパッドのように見えますが…


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薬袋でした。なかなか可愛らしいです。

国立科学博物館特別展「医は仁術」、会期は今週末、6月15日までです。


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国立科学博物館には今回、この特別展のほか「石の世界と宮沢賢治」展という企画展が催されており、こちらも見てまいりましたので、明日はそのご紹介の予定です。

どうぞよろしくお願い致します。



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by zabiena | 2014-06-10 22:30 | 博物館・科学館・美術館