鉱物ガラスドーム(大)「胸に残る君の声」
鉱物:アーカンソー州産水晶ポイント(Arkansas,USA)
ドームサイズ:大 35×24mm(
こちらの記事内、百円玉との比較画像の大きいサイズのドームが同じサイズです)
昨年のミネラルショーにて購入したアーカンソー州産の、形の美しいポイントを使用し、久々に鉱物紳士シリーズを作りました。
鉱物紳士。と便宜上呼んでいますが、プライザー社製ビジネスマンシリーズのフィギュアを、鉱物のジオラマに合わせたものです。
まだ少女だったころ、ルネ・ギラン・マグリットのあの山高帽の紳士シリーズが好きでした。
小学校高学年、5年生の私からみたマグリットの世界は大人びて詩的で、そして風変りな中にも上品で、眩しく思えたものです。
その後やはり中学生くらいになるとマグリットが好きです、と表だっていうのは何か「いかにも」な気がして言わなくなったのですが、今でもやはり好きです。
非日常の景色の中で、黙して語らぬ背広の紳士。
何か不穏で、何か不思議な気配が漂いますね。
今回の水晶ポイントは形が美しく、透明感のあるものを選びました。
添えられた不思議な植物はドライフラワーの霞草に着彩してあるものです。
以前、Cafe SAYAにて「水晶の音」を聞きました。
キーン、ともシーン、とも聞こえたその音が、時折耳の奥によみがえります。
水晶の丘で彼も、自身の胸に残る誰かの声を聴いているようですが、いったい誰の声なのでしょうね。
鉱物ガラスドーム(大)「神を畏れよ」
鉱物:マダガスカル産紫水晶ポイント(Antsirabe,Vakinankaratra region,Antananarivo,Madabascar)
ドームサイズ:大 35×24mm(
こちらの記事内、百円玉との比較画像の大きいサイズのドームが同じサイズです)
淡く美しい色合いのマダガスカル産水晶と、ヨーロッパ製の微小歯車を合わせてみました。
この標本は親しくさせていただいている
lucioliteminerals(以前の紹介記事は
こちら)さんに仕入れていただいたもので、いつも使用しているものより少しばかりハイクラスで透明度の高いものです。ちなみにラフカットではなく、ポイントです。(大きな石を砕いた破片ではなく、結晶単体のもの)
その分お値段は少し高めになりますが…
この、とろけるような質感。
水晶は古くは「水精」と表記されていたといいますが、まさにそんな神秘性を垣間見れる標本です。
…やはり、よいものは値が張る、当たり前のことなのですが…単価が高くなるのであまり連発はできませんね。
Nゲージサイズの若い修道士と。
「神は細部に宿る」と建築家ミース・ファン・デル・ローエは言いましたが、ディティールとか、細部の装飾とか、そういうものに私も目が行くタイプです。
この小さな小さなサイズのフィギュアや歯車の、職人技を見ていると畏れさえ感じますね。
ちなみにタイトルの「神を畏れよ」は先ほどまで読んでいたメルキュール骨董店 さん(直近の紹介記事はこちら )著の「西洋骨董道楽」に載っていた永久プレパラートのエンブレムから。 小さなミクロの世界の美しさ、繊細に感銘を受け、科学は神に背くものではないと確信した永久プレパラート職人の話より。
私も、この美しい世界の驚異には神という大きな存在を感じるときがあります。
ただ私はクリスチャンではなく、仏教徒であり尚且つ神道氏子の純日本人なので西洋のクリスチャンであったその職人とは感覚に多少の差異はあると思いますが、文化の違いはあれど自然に対する原始的な畏怖や感嘆は共通する感覚なのではないかと思いますね。
祈る、畏れる、敬う、信じる。
そういったことに昔から興味があります。
仏教系大学で宗教学の講座をとったりしていたころもありましたが結局は実践、ということで某神社で巫女の職に就いたわけですが、そこでは巫女長を経験して辞めるまでの4年間、毎日「祈り」に触れて過ごしました。
そんな日々の中で掴んだ言葉にならない感覚を、なんとか小さなガラスドームに閉じ込めて形にしたいと考えてはいます…がなかなか難しいものですね。
ちなみにスピリチュアルとかパワーストーンとかヒーリングとか、そういう話は一切興味がありませんし、そういう話ではないです。
人の「祈る」という姿が、好きだというだけという話です…。