鉱物ジオラマ瓶(試薬瓶)「旅の宣教師」・(フラスコ型)「ミセスジョンソン」
2014年 04月 14日

昨日は都合により休載いたしましたが、カメラも何とか治り、撮影ができましたので本日は2作品のご紹介をさせていただきます。駆け足でご紹介いたしませんと、デザフェスまでに作品をご紹介しきれないので…長くなりますが、どうぞお付き合いの程お願いいたします。

鉱物ジオラマ瓶(詩薬瓶)「旅の宣教師」
鉱物:メキシコ産霰石瓶サイズ:直径約4cm(口径約2.5㎝) 高さ約8.5cm(蓋部分含む)
少しばかり特別な、ジオラマ瓶です。
何故特別かというと、この瓶に入っている霰石はフジイキョウコさんから頂いたものだからです。
少しばかりご縁がありまして、直接私の作品を見ていただく機会があり、その際に材料にどうぞと頂いたものです。
小さく繊細で、それでいて存在感のある美しい石ですね。

薬瓶は記名スペースのないものを使用していますが、これもれっきとした理化硝子です。なのですが、これは少し揺らいで見えるガラスですね。

ガラス自体に少し揺らぎがあるので、煌めく様は少し伝わりづらいですが、山珊瑚と呼ばれる種類の霰石は純白で、陽の光を反射してキラキラと光ります。清楚ですね。

カバンを持って道を急ぐ宣教師。この森を抜け、彼はいったい何処へ向かうのでしょう。彼の旅は不思議に満ちたものであるようです。


蓋は接着しておりませんので、中をのぞくことができます。天上からの神の視点。夢の中では景色を俯瞰することができるように、この不思議な光景も覗き込んでみるのも楽しいかもしれません。
本当は…フジイキョウコさんに頂いた石で作ったものは自分のコレクションに…とも思ってもいたのですが、作品作りを応援してくださったその暖かいお心遣いに感謝し、こちらはデザインフェスタに持って行くことにしました。…できれば末永く大切にしてくださる方にお譲りしたい、と思っています。

さてもう一つ。
こちらも理化硝子問屋さんで購入した三角フラスコの中の鉱物ジオラマです。

鉱物ジオラマ瓶(フラスコ型)「ミセス・ジョンソン」
鉱物:イリノイ州産八面体劈開蛍石(Cave in Rock,Hardin country,Illinois,USA)瓶のサイズ:口径約2.5cm 底面直径約5cm 高さ(コルク部分含む)およそ8.5cm
いつもお世話になっているlucioliteminerals(以前の紹介記事はこちら)さんから以前B品として譲っていただいた八面体の蛍石を、フラスコの中の墓地に閉じ込めました。

luciolitemineralsさんは八面体を綺麗に整形し直して販売されているのですが、クラックがあったり透明度が今一つだったりという八面体をB品として譲っていただいたことがあるのです。ですので、こちらの八面体はランク的にはB品です。こちらの蛍石には内部に少しばかりクラックがあり、また正確な正八面体ではないようです。
が、今現在はイリノイの蛍石鉱山が閉山してもう大分経ち、コレクターの放出品以外にはほとんど出物もないので、八面体で色付き、このレベルの透明度できちんと八面体の形をしているものが「B品」として安く売られているということはまったくありません。むしろluciolitemineralsさんが誠実なお仕事をなさる、こだわりのある方だということですね。


荒れ果てた墓地に佇む淑女。零落した富豪の未亡人でしょうか。こちらはプライザー社製HOゲージサイズの1900年代シリーズの淑女です。パラソルを手に何を思っているのでしょう。
…余談ですが私にとって「零落した家の未亡人」の代表は太宰治の「斜陽」に出てくる「お母様」です。

で、なぜこの未亡人がジョンソン夫人かというと、この、ピンセットでつまむ大きさのこの墓碑にきちんと[JOHNSON]と書かれているからなのですが…相当目を凝らさねば読めません。この墓碑セットはファーラーという鉄道模型メーカーのHOゲージサイズのものなのですが、きちんと濃淡のついている色合いといい、本当に細かいです。お買い上げになった方は是非、ルーペで墓碑銘をご覧になってください。

こちらもコルクは接着しておりませんので、中をのぞき込むことができます。実はこれは、理化硝子ではない、瓶問屋さんで雑貨として売られていた瓶です。大きさ的には少し他のフラスコ瓶より大きかったので、景色も少し奥行きがあります。

このところ、作品の制作以外に立て込む作業が多くて、撮影がはかどりません。なるべく、デザフェスまでには持って行くもののご紹介をすべてしたいと思っています。それは、時計荘のブースを訪れてくださる方々に、あらかじめ作品を吟味していただく時間を持っていただきたいからです。私の体験談なのですが、ああいったイベントでは他のお客さんや、会場の雰囲気にのまれてなかなか冷静にどの作品が欲しいのか、わからなくなりがちだと思うのです。それで、あれもこれも、だってここでしか買えないのだし、とお金を使いすぎてしまったり…。そういうことのなるべくないように、冷静に考えていただける時間が在ればと思っています。
時計荘の作品は私一人で仕入れから作品作り、管理販売まで致しますので、どうしても大量生産のメーカーのものなどに比べると価格を安くはできません。その分、他でできない買い物を、時間をかけて考える楽しみを提供できたら、石を眺める楽しみをイベントを訪れて下さる皆様と共有できたら、と、そんなことを思っています。
そういうわけでしばらく作品の紹介が続くと思いますが、どうぞよろしくお付き合いの程、お願い申し上げます。

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