さて、
クールラッシュ さんのブログでも既に公開されています(クールラッシュさんのブログ内の記事は
こちら )が、この度クールラッシュさんより新しいガラス製スノードームキットが発売となりました。
実は私も以前はレジンキャストやら木工旋盤やらで土台を自作したこともあるのですが…やはり素人ですから見目良くは作れず、ご紹介できるレベルには至りませんでした。
どちらかというとナチュラルで柔らかな印象の既存のガラス製キットも素敵ではあるのですが、やはりクールな印象のものが欲しいとずっと思っていました。
こちらの新しいガラス製スノードームキットは1930~40年代の古き良き時代のアメリカの「アトラス・ガラス」社のスノードームへのオマージュを捧げてデザインを施されたもので、ベースがなんとも素敵なのです。
クールラッシュ店主のヒデさんは日本有数のスノードームコレクターでいらっしゃいますが、沢山の魅力的なスノードームを実際にお持ちの方ならではの、素晴らしい作品ですね。
私が標本・美術館・博物館が好きなのはそこに「郷愁」を感じるからなのですが、その「郷愁」をこのスノードームキットには確かに感じます。古き良き時代のアメリカのデザインがそう思わせるのでしょうね。
そんなわけで、一足早く先行発売ということで送っていただいたこのキットを使い、早速オリジナルのスノードームを制作してみました。
(なお、「時計荘」においては作品の管理上、プラ製スノードームを「鉱物スノードーム」、ガラス製スノードームを「鉱物スノーグローブ」と表記しております。また、今回のキットより、裏面にクールラッシュさんのロゴシールが張られております。こちらのロゴはキットのロゴですのでそのまま販売させていただきます)
何しろデザインが素敵なので、何を入れても素敵に見えてしまう魔ほうがかかっているように思います。
なお、現在まだこのキットはクールラッシュさんのネットショップにはアップされていませんが、メールでの先行発売をされている模様です。
大きさとしては、ガラス製ドームキットMサイズ(高さ9cm、ドーム直径65mm)とガラス球は同じくらいかな、と思います。
価格設定が非常に良心的(今までにない価格です!!)ですので、これからスノードームの制作をしてみようという方にはお勧めです。
私がスノードームを作っていて、一番気になるのはコストです。
本来スノードームは身近に楽しめる玩具ですから、高価すぎるのはどうかと思うのですが…既存のもので同じサイズのキットは1700円。
そこに鉱物標本、オイル、鉱物チップや雲母薄片、フィギュアと入れていくと…価格がどんどん上がってしまい、作りながら少し罪悪感を感じてしまうことがあります。
こういった、スノードームを愛する方の作られた、スノードームへの愛のこもったキットが発売されることは、愛好家にとっては大変嬉しい出来事です。
鉱物スノーグローブ(黒)「待ち焦がれて」
鉱物:ブラジル産水晶(Minas gerais,Brazil)
インド産雲母薄片(加熱処理加工品)
そんなわけで新キットの記念すべき第一作目はシンプルに、水晶のポイントに腰かける修道女のスノーグローブに仕立ててみました。
シンプルですが、修道女の衣服と水晶のコントラストがシックでスタイリッシュなベースに合います。
水晶はブラジル産。
透明度が高すぎるとオイルで透過してしまってよく見えなくなりますが、今回は雲母薄片を多めに入れることで存在感を出すことにしました。
修道女は初老の女性ですね。HOゲージサイズのプライザー社製です。小道具として、脇に鞄を置いてみました。彼女の待ち人とは?一体何を待っているのでしょう。私は待つ人、祈る人、というモチーフが好きなのでよく使うのですが、これはこのキット最初の作品ですから一番好きなモチーフをオーソドックスに使ってみました。
振ってみたところ。
ブラジル産の水晶は透明度が高く、オイルに透過してしまうので雲母薄片を多めに入れ、スノーフレークと模造パールを足しました。今回は雲母薄片が多いので、接着しない細かな鉱物は入れてありません。非常に清楚な印象のスノーグローブになりました。静かに置いてあるときは静謐、降ってみると一気に華麗な印象になります。
こちらのスノードームは昨日完成したばかり。初めて扱うキットですので、少なくとも2週間は経過を観察し、調整してからデザインフェスタに持って行きたいと思っています。在庫になった場合は、博物ふぇすてぃばるに持ち越します。
・・・・・・
いよいよデザフェスへ向けての制作も大詰めとなってきています。
このところの懸案事項は鉱物スノードームを販売するか否かでした。
以前から何度かこのブログでも書いていることですが、スノードームは経年劣化します。
ものによってはほとんど変化をせず数年持つものもありますが、数か月で変化が訪れてしまうものもあり、これはほとんど賭け、運としか言いようがありません。
オイル封入でカビの発生などは抑えることができるようになりましたが、接着剥がれ、ゴム栓の劣化による液漏れ等は、これはもう接着剤やゴムの製品品質の問題ですから解決はできません。
ある程度、予防策は色々ととっていますが、これも絶対ではありません。
そういう状況の中、高いお金をいただいて販売をするのは気が引ける…と半ばあきらめていたのですが、スノードーム愛好家の方などに相談をしたところ、みなさんが口をそろえておっしゃったのは
「壊れゆく運命にある儚さもスノードームの魅力」
ということでした。
オールドコレクションなどのスノードームは水が減っていたり、既にぬけていたり、接着がはがれていたりするものも普通にたくさんあります。
それでもなお、それらがコレクターを魅了してやまないのは「閉じられた世界の時間の経過」としてそれを魅力のうちととらえているからかと思います。
新品同様にきれいなものがいいのはもちろんなのですが、いつかは壊れる、消え去るもの特有の美しさをそこに見る、というのは私にもよくわかります。
鉱物を作品に仕立てることへの罪悪感を相談した時にとある方がおっしゃった「真珠なども着用するたび劣化するけれど、その美を楽しむために皆買い求める」という話や、上記のスノードーム愛好家の方々の話などを受けまして、時計荘では直接対面販売でのみ、スノードームを販売することに決定しました。
私は一時期華道関連の仕事をしていたのですが、お華もいつかは枯れると皆知っていて、刻々と変化する美を名残惜しみつつ楽しむ文化があります。
そういった感性で、この鉱物スノードームを鑑賞してくださる方に、是非お譲りしたいと考えています。
ただ、問題は時計荘のスノードームがすべて、オイル封入であることです。
中身のオイルは人体に無害な医療用オイルですので、割れたり漏れたりした際に触れても危険はありませんが、オイルなので布や木などはシミになってしまいます。
そんな懸念があるためスノードームに受け皿のようなものをつけようと今、考えています。
万が一漏れた場合にも、周りに被害が及ばぬように…。
この受け皿に置いた上で直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所に保管していただきたく思います。
こんなに繊細で扱いの難しいものを欲しいという方がいらっしゃるのかは謎ですが、今のところは一部作品を除き販売可、ということをここにアナウンスさせていただく次第です。
どうぞよろしくお願いいたします。
にほんブログ村
↑ランキングに参加しています。押してくださると、更新の励みになります。
いつも応援してくださる方々、本当にありがとうございます。