国立科学博物館企画展「石の世界と宮沢賢治」

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さて、昨日の予告通り、本日は国立科学博物館にて開催中の企画展「石の世界と宮沢賢治」(公式サイトはこちら)のご紹介をしたいと思います。

…と申しましても実は、鉱物好きではあるのですが私は宮沢賢治に関しては小学生時代に著作を一通り読んだことがある、程度でありまして、特に思い入れが強いとか、一家言あるとかいうわけではまったくありません。
仏教系大学の文学部出身ですので、15年以上前に「宗教人としての宮沢賢治とその宗教観」などの講座などを児童文学カテゴリで履修したことはありますが、所詮その程度です。
なので、賢治と石、という非常に大変なテーマの解説はここではできません。

ただ、賢治の生きた時代の、教育課程の中での鉱物の扱われ方には非常に興味があります。


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これは尋常小学校で使用されていた当時の教科書ですが、この時代にはまだ、カラー図版の図鑑というものが一般的ではなく、学校教育においてはまだ、実物標本を用いた教育が主流でした。
(画像に黄色い帯が写ってしまっていますが、これは展示ケース越しに撮影をしているためです。ご容赦ください)

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こちらなどは千葉大学薬学部で使用されていた鉱物標本ですが、こういった「古い標本」に風情を感じるのは、個人的に実物を用いた教育自体にノスタルジーと淡い憧れがあるからです。
私が小学生だった頃(昭和52年生まれです)などはまだ、小学校に「岩石園」というものがありまして、岩石の実物標本が普通に展示されていた気がしますが、それが教育に使われていたかというと、「なんとなくそこにある」だけであまり活用はされていなかった気がします。


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こちらは実際に尋常小学校で使われていた鉱物標本セット。
無骨で素っ気なく、整然としていて、何処となく近寄りがたくまた、一方で親しみやすい(高価すぎない)標本がきっちりと箱に収まっている様子は、蒐集癖のある人間にとってはたまらない風情です。


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こういった古いラベルもまた、じっと見ていると当時の教室の風景などが思い浮かんでくるようですね。


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こちらは島津製作所による双晶模型。
多面体好きにはたまらないオブジェですが、こういったものを使って教育をする、ということそのものに、なぜか強く惹かれます。
「モノ」に拘る性癖の人間ならではだと思いますが、やはり、学校の資料室や準備室には垂涎の教材が詰まっていてほしいものだなあ…などと考えたりしますね。


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こちらは賢治が制作した岩石プレパラート。

実はこの、岩石プレパラートには個人的に思い入れがありまして、私も高校時代、地学でこれを制作したことがあるのです。
地学の教諭が変わった先生で、一年間、まったく教科書を開かず、ひたすら鉱物についてしか教えない方でした。
多摩川や秩父長瀞へフィールドワークへ出て、石を採集し、一年間かけて岩石プレパラートやレポートを作成する、という授業を受けたのですが、その当時は「きれいな石を集める」ことや稲垣足穂、長野まゆみの小説などには興味があったものの、実際の採集や作業が嫌で嫌で…勿体ないことに作成した後のものはどこかへやってしまいました。

不思議なもので、「どこかへやってしまった」ものほど、なぜか記憶に残り、印象が強かったりするものなのですね。
賢治も顕微鏡で岩石プレパラートをのぞいた時の、あの石のささやきに耳を傾けていたのだな、と思うとなんだか、少し面映ゆいような、照れくさいようなせつない気持ちになりました。


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ほか、当時の道具や…


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金石舎の紹介などが続き、


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賢治の著作に登場する石や化石などの展示を抜けると、



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書棚を模した展示スペースに、鉱物標本に賢治の著作の中の石の表現が添えられた展示が並んでいました。



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一つ一つの標本も見ごたえのあるものではありますが、私の石に対する興味というのは「自分が所有できるもの」に大きく振れるものなので、実はこういった立派な標本を観ていると、逆に興奮はあまりしなかったりします。
家にこんな立派な標本があったとしたら…と考えると「扱いに困る…」と思って物欲には針が振れないものなのかもしれません。
常に所有について考えてしまうあたり、なんとも浅ましい限りなのですが。



展示自体はこじんまりとして、特別展ほどの混雑もなく、ゆっくりと見て回れました。
常設展のみの入館料で見ることができますし、鉱物のマニアックな知識などは不要で、ともかくさらっと見て回れる、という展示です。
マニアなコレクターの方々には少々物足りないかもしれませんが、宮沢賢治の世界に浸るにはいい企画だと思います。


「石の世界と宮沢賢治」展は今週末日曜日、6月15日までの開催です。



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などとご紹介して参りましたが、実は個人的には…企画展示室の向かいの常設展示室のほうが…実は好きです…。

国立科学博物館のガチャガチャにもなっている名物「トロートン望遠鏡」のある部屋ですが、



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永久プレパラートや、


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ずらりと並んだアンティーク顕微鏡、
(実は、ここで見た「コンパウンドドラム型顕微鏡」が好きで好きで…メルキュール骨董店さんにお願いして同じ型のものを購入した経緯があります。時折このブログにも登場しております…もちろんこんなに状態の良いものではありませんけれど)


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木製渾天儀や天球儀、


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ずらりと並んだ和時計など、本当にこの部屋に棲みつきたい…と思える部屋です。
私は国立科学博物館に行くときはここと剥製の並んだ部屋に必ず寄るのですが、このブログの読者の皆様にもたまらない世界だと思います。当然皆様ご存知だとは思いますが、今まで掲載したことがなかったので敢えてご紹介いたしました。

この日はこの後、Cafe SAYAでのんびりと水晶のエアリースパイラルを観察するための偏光フィルム箱を作りながらお茶をしてきたのですが…全く持って無念なことに、前日カメラのバッテリーを充電するのを忘れたまま科学博物館へ行ったため、電池切れ…で、写真は一枚も取れなかったという…。
また次回訪れるときには、しっかり準備を怠らずにいきたいと思います。



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さて、梅雨の天気であまり写真が取れずにおりますが、明日は晴れ間が出れば鉱物のご紹介、でなければまた、別のもののご紹介になると思います。
作品の制作もボチボチ進んではいるのですが、こちらはご紹介にはまだ遠く、しばらくのんびりした更新が続きます。

どうぞよろしくお願いいたします。


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by zabiena | 2014-06-11 23:08 | 博物館・科学館・美術館 | Trackback | Comments(0)