蛍石酔い、ニューメキシコ州ビンガム産八面体蛍石バージョン
2014年 06月 19日
本日千葉では朝から素晴らしいお天気なので、また梅雨の晴れ間を狙って博物ふぇす用の写真をぼちぼち撮影しました。
(註:先日イリノイの大量八面体(当該記事はこちら)のご紹介時にもご説明いたしましたが、博物ふぇすの物販ブースには「学問からエンタメ!」という展示への参加が必須となっています。素人の私があれこれ鉱物について解説してみても片手落ちだろうということで、20年来蒐集してきた「どうかしている量の八面体」の撮影を進めており、このパネルと現物の八面体の展示を以て素人蒐集家ならではの参加をしよう、というお話です)
イリノイ州に引き続き今回は、ニューメキシコ州ビンガム産の八面体劈開蛍石です。
前回ほどではないものの、やっぱり大量です。と言っても、これは個人で蒐集したものだけではなくて、作品に仕立てるためにここ半年ほどで仕入れたものを含みます。
ニューメキシコ州、ビンガムの蛍石は濃い青が魅力なのですが、イリノイほどの透明度はなく、むしろすりガラス状で曇った質感です。なので、現在流通しているほとんどの八面体にはシリコンオイルが塗られています。これはあちらの方の感覚では純然たる好意であって、染色や加熱などの加工とはちょっと意味合いが違うのですが、このあたりの感覚を許せない方もいらっしゃるようで、そういった方は八面体劈開標本ではなく、母岩付の未加工品をお買い求めになるほうが安心ですね。(過去の記事ではこちらが母岩付の標本で、オイルは塗ってないものです)
私としては、そもそも八面体に割った時点で人の手は入っていますし、これを特殊な洗浄剤で落とすことはもちろんできる(水や中性洗剤で洗ったくらいではオイルは落ちません)のですが、なんというか…ガサガサして曇った残念な感じになってしまうし、そこまでする意味も見当たらないので、このまま陳列したり作品に使ったりしています。
今考えているのは、オイル浸潤のビンガム産八面体蛍石グローブ。そもそもオイルが塗ってあるのなら、オイルに浸してしまえばよいのでは…なんて考えています。スノーグローブのように振ってみるのはキケンですが、置いておくには素敵かもしれません。
乾いた状態ではわかりにくいですが…
水をかけると少し、てらてらとしたオイルの様子がお分かりになるかと思います。
イリノイに比べて流通量が少ない(と言っても現在はイリノイは絶産ですのでやっぱり手に入りづらいですが)ビンガムの八面体ですが、知人の業者さんのお話によると、どうやら劈開にそって綺麗に割れないこの性質は多結晶由来のものだそうです。劈開面が斜めになっていたり、沿っていたりしてあまりうまく八面体に割ることができません。…私も中国産・ナミビア産・ビンガム産のものはチャンクを割ったことがあるのですが、きれいな八面体に割ることはできませんでした。
一方、ガラスのように透明感があって劈開面が滑らかで平らなイリノイのものは劈開の並びが均等に揃っていて、これはおそらく単結晶由来のものだそう。私程度でもそこそこ正八面体に近づけた形に割ることができます。
これはまた別の業者さんのお話ですが、現在出回っているビンガム・ブランチャード鉱山の八面体はある程度技術を持った職人さんが割っているのではないか、とのこと。…さすがに素人では正確に正八面体に割るのは難しいようです。
イリノイ産に比べると一段落ちるような評価のビンガム産ですが、やはりこの深い青はたまりません。
天空の城ラピュタ…、飛行石…、なんて声も聞こえてきますが、私にとってなんとなく夏のイメージなので、貝殻・サンゴと合わせてみました。
こちらは定番の、ガラス瓶。共栓三角フラスコです。ガラスと蛍石は永遠のベストカップルですね。
あれやこれやと炎天下、撮影するのもまた、楽しい青です。
作品に仕立てた分を別として、こちらも現物は会場にお持ちする予定ですので、当日お越しのお客様には是非、ご覧になっていただけたらと思っています。(蛍石は硬度の低い石ですので直接触ることはできませんが、どうぞご理解をお願いいたします)
青は…やっぱり格別ですね。
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