Arakiさん個展へ納品予定の鉱物ジオラマ瓶(大)2点

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昨日告知させていただいた(こちらの記事です)とおり、4月4日(土)より29日まで、中野の旅屋にて開催され
Araki Mizuhoさんの個展に出展する作品を、本日より順次ご紹介していきたいと思います。

まずは、一番サイズの大きな試薬瓶の鉱物ジオラマを2点、ご紹介します。



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鉱物ジオラマ瓶(試薬瓶・大)「星の旅路」

鉱物:ブラジル産スターマイカ(白雲母星型双晶)
イリノイ州産八面体劈開蛍石

瓶サイズ:高さ約13.5cm、直径約 6.5cm



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今回、Araki Mizuhoさんの個展にゲストとして作品を出店するにあたり、Arakiさんからのオーダーは「医療と旅」シリーズに出て来る旅する紳士たち(日本人が主人公です)と彼らが出会った薬用鉱物をモチーフに、ということでした。

とはいえ、私はフルスクラッチでジオラマを作っているわけではないので、例によって鉄道模型用のフィギュアを使うわけですが、日本製のものは日本人がモデルになっているものの作りが甘く、Arakiさんの繊細な筆致で描かれる世界とはイメージが合いません。
そこでやはり造りが精巧でシャープな印象のプライザー社(ドイツ)の、ビジネスマンのフィギュアたちの中から日本人にも見えるもの(主に髪が金髪や銀髪、茶髪ではないもの)を使用することにしました。
またArakiさんが「医療と旅」で描いている世界が100年ほど前、ということで1900年代シリーズのフィギュアも時代的にちょうど合致するので一部採用することにしました。

加えて旅先で出会った修道女、修道士、また薬物のイメージから死神などのフィギュアも採用。
そこからイメージをふくらませ、Arakiさんが作っていらっしゃる手帳や冊子、栞などに登場した「薬用鉱物」と同じ種類のもの、マグネタイト、雲母、石膏、琥珀、紫水晶を使用した、不思議な夢の景色を組み立てました。

もちろん、実際にある景色ではなく、あくまで旅の紳士たちが見た夢、という設定です。
砂漠や森に広がる不可思議な石の景色…知的好奇心が赴くままに世界を旅した彼らは、夢に見る世界でもまた不思議な旅を続けているのかもしれません。



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さて、このサイズの瓶はかなり大きめなので、少し広がりのある景色を作ってみました。


駱駝をお供に砂漠をさすらうスーツの紳士…
背景にあるのはとっておきのスターマイカとイリノイ州産の蛍石です。

スターマイカは白というよりは蜜色をしていますが、これも白雲母の一種。
星型双晶と言って、貫入双晶(2個体の結晶が組み合わさる形に結晶したもの)した結果星型になったものです。
雲母はとても脆い鉱物なのでこの結晶自体をアクセサリー等に加工することはできませんが、この神秘的な自然の美はやはり、こうして瓶の中に安置でもしてじっと眺めていたくなるもので、標本としては人気があります。

この個体も多少、先端部にダメージは見られますがきちんと星型も確認でき、色合いも美しい観賞に耐えるものです。




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また、1970年代に既に閉山したイリノイ州の鉱山から採れた色とりどりの美しい蛍石は、私がアメリカから輸入した塊から劈開(決勝の並びによって割れやすい性質)に沿って八面体に割り出したものから、特別綺麗に割れたものを選んで使用しました。

こうした八面体は鉱物の性質を表す標本として人気があり、イリノイ州のものは特に透明度・色合いが美しく人気がありましたが既に閉山しており現在は採掘ができないため、現在流通しているものは全て過去採掘されたものの放出品です。美しい個体との出会いはまさに、一期一会ですね。

また余談ですが、この蛍石、中医学では「紫石英」として漢方薬(方剤例:「紫石英散《証治準縄》」)に使われているようです。

この生薬として用いられる「紫石英」は広東では二酸化ケイ素を含む石英石Quartzで、紫色の条紋のあるものが紫石英、白色で夾雑物のないものが白石英とされています。そして、この他の地区で用いられている紫石英というものが、フッ素を含むいわゆる蛍石なわけです。

ここでいう蛍石は中国産のものなので産地は違いますが、もちろん鉱物としての成分は同じです。
そんなわけで蛍石も薬用に用いられることがある、ということで。
ちなみに効用は鎮静作用で、動機や不安感、鎮咳、不正性器出血などに用いるようです。
(参考文献:「漢薬の臨床応用」中山医学院・編)


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夢の砂漠を旅する紳士。スーツを着込んではいるものの、流石に暑いのかコートは脱いでいます。
後ろに従えている駱駝もプライザー社製のものです。プライザー社にはアラブのシリーズも多少ですがありまして、そのラインのものです。どちらもサイズはNゲージ。


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雲母と蛍石は蛍光しませんが、砂漠の砂に蓄光粒をまいてあるので、ブラックライトを照射すると星の砂漠のように光ります。また、人工の蓄光粒なので、紫外線を蓄光し、お部屋の電気を消した跡などにふんわり光ります。



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鉱物ジオラマ瓶(試薬瓶・大)「遠い記憶の修道院」

鉱物:スマトラ産ブルーアンバー(螢光)
アーカンソー州産水晶

瓶サイズ:高さ約13.5cm、直径約 6.5cm



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厳密には化石なので普段だと琥珀(アンバー)はあまり取り扱わないのですが、今回はArakiさんの作品に登場するので特別な琥珀を使用し、荒れた修道院の庭の景色を瓶の中に閉じ込めてみました。



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琥珀はいわずもがな、宝石として用いられる樹液の化石(松脂を思い浮かべる方が多いと思いますが、針葉樹の樹液で松に限りません)です。
この琥珀は薬効があるものとして古来から漢方などに用いられ、ほかの生薬と組み合わせて痙攣・不眠・血尿・角膜混濁などに用いられてきたようです。
方剤例としては「琥珀通淋方」「琥珀杞菊湯」などがあります。(参考文献:「漢薬の臨床応用」中山医学院・編)

今回は琥珀の中でも青白く蛍光する高価なスマトラ産のブルーアンバーを贅沢に使用しました。
透明感もあり、昼の姿もまた、深い色合いが美しいです。
その後ろに添えてあるのはアーカンソー州産の水晶のポイント。こちらも姿がとても美しく、透明感のあるとっておきです。



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今回はスペシャルな企画なので、スペシャルなものを多々使用しています。まだ時計の張りが残っている状態で、いい感じに古びています。
腕時計のムーヴメントは女性もので、ロシア製のビンテージ品。人工ルビーの爪石も残っていて、ブラックライトを当てると派手な色に蛍光します。
時とともにサビが出る可能性がありますが、それも作品の味としてお楽しみください。

ストラクチャーとして今回スペシャルに使用しているのは、ドイツの鉄道模型メーカー「ノッホ」社の十字架。
磔にされたキリストの姿まで丁寧に作られています。
合わせてあるのはHOゲージのプライザー社製の修道女。

まだうら若き乙女は、このような荒れた修道院の庭で、いったい誰の記憶に祈りを捧げているのでしょうね。


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ブラックライトを当てると、このようにブルーアンバーは激しく蛍光します。
ほか、草むらにまいた花も派手に蛍光します。
ブルーアンバーは燐光しないので、ブラックライトを当てた時のみ光りますが、花は人工の蓄光粒なのでお部屋の明かりを消した跡などにぼうっと蓄光します。


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蛍石などで見る青い光とは違い、少し青白い感じの蛍光がなんとも怪しげで美しく、夢の世界を盛り立てます。



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今回ご紹介している作品は4月4日より、中野の旅屋さんにて、Araki Mizuhoさんの個展でゲスト作品として展示即売されます。
お取り置きなどはできませんので、どうぞご注意ください。
また、初日は大変な混雑が予想されます。詳しい情報等はArakiさんのTwitter(@umitategg)にて続報があるようですので、ご参考ください。


次回は同じくArakiさんの個展に納品予定の、通常サイズの試薬瓶タイプのご紹介をさせていただく予定です。
どうぞよろしくお願い致します。



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by zabiena | 2015-03-25 21:25 | 鉱物ジオラマ | Trackback